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Project report 01

国内最大級の木質バイオマス発電所建設

「社員を守る」ために始まった 再生可能エネルギー事業

2022年4月1日、福島いわきバイオマス発電所が運転を開始しました。

関西電力・九電工・ビーエイブルが共同出資し設立した「エイブルエナジー合同会社」が運営し、年間約7.7億kWh(一般家庭約25万世帯分の年間電気使用量に相当)を発電、木質バイオマス発電所としては国内最大級です。

この発電所の建設が計画されたのは東日本大震災発生の翌年、2012年。
「再生可能エネルギー事業を始めたのは、地球温暖化や脱炭素などの世の中の風潮に押されてではなく、"社員を守るため"という必要性に迫られてでした。」当時を振り返り佐藤社長はこう語ります。

福島第一原発の事故後の鎮静化作業に従事し、被ばく線量限度に達して原発では働けなくなった社員の雇用を守るため、ビーエイブルは太陽光発電事業を開始します。その後更なる雇用の拡大を目指して構想されたのが、木質バイオマスを燃料とする新規発電所の建設計画でした。

幾多の難題を乗り越えて

これほど大規模な発電所の建設計画を、地方の一企業が主体となり進めるのは異例のことでした。事業計画を携え銀行に融資の相談に行っても、「事業と会社の規模が見合っていない」と最初は話を聞いてもらうことすら難しい状態でしたが、あきらめず何度も交渉を重ねました。

発電所を建設するには、他にも様々な条件を満たし、数多くの課題を解決する必要があります。このプロジェクトを進めるリーダーとして佐藤社長が白羽の矢を立てたのが、大手電力会社で40年にわたり火力発電事業に携わってきたプロフェッショナル、町野孝司氏でした。

「長年火力発電所の運転保守や建設業務を行ってきましたが、木質バイオマスを燃料とする発電所の仕事に関わるのは初めてでした。
この規模の発電所を建てる場合、必要な条件として、5ha以上の広さの土地、1日あたり68000m3の工業用水が確保できること、154kV以上の送電線が敷設可能なこと、燃料を運搬するための経路が確保できること、などがあります。
まずはこれらの条件をすべて満たす建設候補地を探すことから始まり、用地獲得のための交渉手続き、地域住民の方々や自治体への事業内容の説明と了承の取り付け、環境アセスメントの申請・実施などを終えてようやく建設を始めることが出来ます。プロジェクト開始から、着工までたどり着くのに約8年かかりました。」(町野氏)

発電所の建設工事が着工したのは2020年。ビーエイブルがこれまで培ってきたプラント建設の技術とノウハウが生かされ、作業は順調に進み、2021年にはボイラへの火入れが行われました。

地域社会に根差した新しいエネルギー事業の在り方

この発電所で、エイブルエナジー合同会社の社員25名が働いています。(関西電力からの出向者2名、ビーエイブルからの出向者社員23名)

天候に影響を受けやすい太陽光発電や風力発電と違い、木質バイオマス発電は常に安定した電力供給化が可能です。また、植物由来のバイオマス発電は、CO2の排出を「プラスマイナスゼロ」にできるため、エネルギーのゼロカーボン化にも貢献できます。

「震災そして原発事故は、それまで原子力プラント事業を主軸としていたビーエイブルにとって、会社の存続を揺るがすまさに最大の危機でした。『火事場の馬鹿力』という言葉がありますが、危機的状況にあったからこそ信じられないような大きな力が出せて、当初は到底不可能だと言われたこのバイオマス発電所の建設・運営も実現できたのだと思います。何事もなければ、これだけの事業はできなかったでしょう。
地域で発電した電気はその地域で消費して発電作業も地域の人が行う、オペレーションも地域で行う、それにより地域が雇用面でもエネルギー面でも活性化される。地域と一体となって事業を行い、それが地域創生・地方創生へとつながる、私はそういった在り方が望ましいと考えています。」(佐藤社長)

再生可能エネルギーによる発電技術の社会実装、エネルギーの地産地消、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み。福島いわきバイオマス発電所は、地域経済の活力を生み出す場、そして再生可能エネルギーによる循環型社会を実現する足掛かりとしても期待されています。